臨床心理学とカウンセリング (10)

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カウンセリングでの技法

心理カウンセリングは心理療法にも含まれ、臨床心理学とも密接な関係があります。 カウンセリングをする側では、大きく二つの基本技法を用います。 一つは、言語的表現。 その名の通り、言語、つまり言葉を使って行うコミュニケーションです。 普段何気なくしている会話、これは立派な言語的表現ですね。 自分の考えを伝えたり、時には思いもよらぬことを口から言葉に出して伝えること。 これが言語的表現、言語的表現です。 一方、非言語的表現。 言語的表現と違って、「言葉ではないコミュニケーションって何?」と思われるかもしれません。でも、実は言葉を使う言語的コミュニケーションと同じように私たちは普段からこのコミュニケーションを行っているのですよ。 非言語表現のもっともわかりやすい例は、ジェスチャーです。 海外旅行を行った時等、外国人などの言葉の通じない人相手に「身振り手振りで説明した」という人がいますよね。これこそがまさに非言語的表現! 言葉を使わなくても、自分の思いを相手に伝える方法です。 他にもあります。たとえば、視線。 その視線の向きや強さ、その目つきなどから、「あ、あの人は怒っている」などいろいろな情報が読み取れますよね。これも立派な非言語的表現。 非言語的表現は、行動心理学などの分野でも専門的に研究されています。 この二つの表現をうまく利用しながら、カウンセラーはクライアントをカウンセリングしていくのです。 これはカウンセリングの技法なのですが、実はこの表現の活用方法、中身を知っていると私たちが日常生活を送る中でも便利なものなのです。

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「カウンセリング」と「心理カウンセリング」

カウンセリングとは何か?と問われてはっきりと答えるのは、実は専門家でも難しいことのようです。 精神的な苦悩や苦痛を抱えている人、心理的に問題を抱えている人、そのようなカウンセリングを受ける人を「クライアント」と呼びます。 問題を解決する為の訓練を受け、カウンセリングを行う人をカウンセラーと呼びます。 このカウンセラーが、クライアントが抱える問題を解決していくのがカウンセリング。 クライアントを理解し、その立場になって相手のことを考え、解決に導く、という部分は共通。 けれど、その定義については「これ!」といって定まっていないのが現状なのです。 今まで述べたのは、心理的なカウンセリングの話。 この心理カウンセリングは臨床心理学と深い関係があるものなのですが、最近、心理的なもの以外でも相談する行為をカウンセリングと呼ぶことがあります。 エステや美容院などに行って、 「まずカウンセリングから始めます」 なんてこと、言われたことはありませんか? これは臨床心理学と密接に関係する、心理カウンセリングとはもちろんまったくの別物です。 けれど、実はこの「カウンセリング」も、間違いではないのです! カウンセリングの意味はもともと「相談する」ということ。 エステなどでお客様を「クライアント」、エステティシャンを「カウンセラー」とするなら、クライアントの現在の状態を相談する、現在の問題を明らかにする、という意味で使われてもおかしくはないのです。 複雑ですね。 こういったことから「カウンセリングって結局何?」と余計にわかりにくくなります。 心理カウンセリングを含め最近では様々なカウンセリングがありますが、どのようなカウンセリングでも共通しているのは、 「クライアントが抱える問題に見合う専門知識をもったカウンセラーが、その問題解決に導いていく」 ということ。 それが心理的な面での問題ならば「心理カウンセリング」という訳ですね。

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心理療法って何?

臨床心理学の要素の一つに、心理療法があります。 療法、という言葉からわかるように、これは治療するための技法になります。 もちろん、一言で心理療法と言ってもその技法はひとつではありません。 心というのは人それぞれであり、問題も、その原因も様々。だからこそ、それを癒す方法も種類も多くなるのは仕方ないことですよね。 それは逆に言えば、人の心は一つ限りの方法でなんか癒せないということ。 その人の状態を見ながら、その人にあった治療法を行っていくことが大事なのです。 では心理療法にはどのような技法があるのか、簡単に説明しますね。 箱庭療法は、心理療法の中でも有名なものの一つではないでしょうか。 遊戯療法の一つとされ、問題を抱えた人自身の表現から治療を行っていくものです。決められた箱の中におもちゃを配置させ、その過程を見ながらその人の状態を知ろうというもの。 また、そうやって配置していくことにより、その人自身の気持ちも解放することも出来ます。 心理療法の一例として箱庭療法をあげましたが、この箱庭療法が有効な人もいればそうでない人もいます。様々な心理療法の中から問題を抱えた人に合った療法を選び出す必要があります。 何がその人のためになるのか見極める行為は、大変難しいことです。 だからこそ、心理療法を行う人には多くの知識と経験が求められます。

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心理査定って何?

臨床心理学の一要素であり、心理カウンセリングの一部としても行われる「心理査定」。 援助を必要としている人の情報を集め、問題がどのようなものか、その問題を解決していくためにはどうすれば良いかを考えていく行為なのですが、実際にはどのようなことが行われるのでしょうか? いくつか簡単に取り上げます。 まず、行動観察法。 これは、援助を求めている人がどのような態度をとるか、どのような表情をするか、言葉遣いや動作はどうしているか、など、その名の通り相手の行動を観察する方法です。 その人自身の行動を見ることによって、問題の原因を診断し、そこから治療に役立てます。 次に面接法。 面接法は観察法とは違い、援助を求めている人の心の中を理解していく方法になります。 観察法は行動や表情を見ました。ですが、それらはあくまで外面的なものですよね? 面接法は、直接話し合って、話している内容からその人の中身を垣間見ることが出来ます。くわえて、その口ぶり、話し方からも情報を得ることが出来るのです。 この面接法は、臨床の中枢とも言える手段なのです。 他にも、知能検査や質問紙法、投影法、作業検査法などの手段もあります。 一口に「心理査定」といっても切り口ややり方はそれぞれ。 ですが、いずれの場合も、まず問題を抱えている人がどのような人なのか、今どのような状態にあるのか、能力や性格、考え方を知る為の検査になっています。 いろいろな手段を使って、その人をいろいろな面から知ること。それがその人自身を助ける第一歩なのです。

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臨床心理学について

臨床心理学、という分野は、心理学の中でもメジャーなものかもしれません。 臨床心理学とは、精神的に疾患があったり、心理的に問題を抱えている人たちを治療したり、その問題を解決する分野。その領域は、心理査定、面接・心理療法等に分類されます。 心理査定や、面接・心理療法、といわれても、よくわからないですよね。 心理査定とは、心理的に助けを求めている人たちの情報を集め、何が問題となっているのか、何が原因でそうなっているのかを調べること。 そしてそこからその人を助けるためにはどうしたら良いのか考えて援助の計画を立てたり、実際に援助する活動の中で調べた情報を使うこと。 その一連の流れが臨床心理査定と呼ばれるものです。 心理的に問題がある、といっても、問題の内容も、その原因も人それぞれ。 「なぜこの人は困っているんだろう?」 「困っているこの人を助けるためにはどうしたら良いんだろう?」 それを知ることがまず、問題解決の第一歩になります。 それをするのが、心理査定ということですね。 一方で心理療法は心理的に問題を抱えている人を治療していくこと、問題を抱えている人を心理的に治療していくことをいいます。 これら心理査定や心理療法などを含めた臨床心理学とは、人が精神的に健康ですごすためにどうすれば良いかを考える分野なのです。 ここまで読んで「あれ?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。 皆さんがよく知る「カウンセリング」。 実は心理的なカウンセリングは、この臨床心理学とは非常に密接な関係にあるのです。

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