家庭の心理学 (20)

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繰り返す悲劇

幼児虐待が連鎖する、ということを知っていますか? 最近、生後まもない子供たちが親の心無い暴力によって大怪我をおったり、最悪の場合死に至ったり、というニュースを目にすることが多くなりました。 保護施設等に保護される子供たちもいますが、はたして保護されただけで子供たちは救われたといえるのでしょうか? 答えは、NOです。 保護されたからといって、子供たちは救われたことにはなりません。 保護されれば、とりあえずはその後の子供たちの生活を守ることは出来ます。しかしそれまでに受けた子供たちの深い心の傷は、ただ守られるだけでは癒されないのです。 この心の傷は、成長した彼ら自身をまた苦しめることになります。 家の中で虐待を受けた子は、自分を傷つける相手に対し安心感を覚えるようになります。幼少期に親など身近な人から虐待を受けた子供は、「愛されること=傷つけられること」と勘違いしてしまうのです。 そしてさらなる問題として、幼児虐待を受けた人は自分の子にも同じように虐待をしてしまうことが多いといわれています。自分が意識していなくても、心の奥底に虐待された傷を持っている人は無意識に自分の子供にも同じ接し方をしてしまう、同じ接し方しか出来なくなってしまう、ということですね。 子供を虐待することは、ただその子を傷つけるだけではすまない。そのことを理解して、本当の愛し方で子供と接していきましょう。

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摂食障害に陥る理由

「摂食障害」について聞いたことはあるでしょうか? 「過食症」や「拒食症」という言葉ならば最近耳にすることは多いかと思います。摂食障害とは、神経性過食症と神経性無食欲症とも呼ばれる拒食症に分けてられます。 しかし過食症と拒食症は正反対の症状でありながら、多くの人が拒食症だけ、過食症だけ、という発症の仕方をするのではなく、両方の症状を繰り返して発症する傾向にあります。 ものすごく食べる時期の次に全く食べない時期があり、またものすごく食べるようになる、という訳ですね。 このような極端な食生活は体に良いわけがありません。 これらの障害は、「痩せたい」「太りたくない」という現代女性が無理なダイエットをすることから発症することが多いようです。 接触障害は、几帳面な人やまじめな人、また強迫傾向が強い人が陥りやすいと言われています。 また摂食障害に陥る原因は人それぞれ違いますが、その一つに母親とどのような関係にあるのか、という面が影響しているケースが見られます。母親のことが認められないために、母親のようになりたくない、大人になりたくない、と思うあまり食べることを拒んで身体の成長を止めてしまうのです。 特に思春期の子供がこのような症状に陥ると成長を大きく阻害してしまいます。 「今の体型でも問題ないよ」と安心させてあげるなどして、普通の食生活を送らせるようにしてあげましょう。ひどいようであれば、専門科の治療も必要です。 成長期のうちは、自然とエネルギーを使うもの。過度なダイエットなど必要ないのです。

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喫煙=○○?

最近、喫煙者が肩身の狭い思いをする世の中になってきました。 禁煙席しかないお店が増えたり、完全分煙・完全禁煙のオフィスが増えたり。タバコとは無縁の人たちには良い風潮ですが、愛煙家の人にはたまらないですよね。 しかしそこで禁煙を決意しても、なかなか続けられずに挫折してしまう……。そんな人は多いかと思います。 タバコをやめられない理由を問うと、人それぞれ、いろいろな理由が出てくるかと思います。ニコチン中毒、習慣、ただなんとなく……けれど「おしゃぶりが恋しい」と答える人は、そうはいません。 けれどこれ、心理学的にはれっきとした「禁煙できない理由」なのです。 乳児の頃、お母さんから母乳をもらう、つまり乳首を吸うという行為によって赤ん坊は食欲を満たされたり、安心感を得たりします。この幼少期の記憶が喫煙する理由にも影響するのです。 乳児は唇にものが触れている、口にものを運ぶという行為をすると安心するようになり、反対にそれがかなえられないと欲求不満に陥ります。さすがにずっとお母さんのお乳を吸うことはできないので、乳児はおしゃぶりでお母さんのお乳の代わりとし、安心感を得るわけです。 この行為こそ、大人の「喫煙」にあたります。 幼い頃乳離れが遅かったり、逆に早かったりすると、大人になってからでも唇に何か物が触れていないと安心できなくなってしまいます。安心できないからといって大の大人になっておしゃぶりをするわけにもいきません。そこで代わりになるのがタバコ、というわけです。 「口寂しいのでなんとなく」タバコを吸う人は、この、幼少期の体験が影響している可能性が高いといえます。 タバコ以外にも、ずっと飴玉をなめている、ずっとガムをかんでいる、という人も、同じ理由だと考えられます。

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はっきりしすぎ!

「コンピュータ過剰適応型」の若者が増えている、といわれます。 これは心理学的に見た言い方で、何のことかよくわからないでしょう。 「コンピュータ過剰適応型」の若者とは、「白黒をはっきりつけたがりすぎる」若者たちのことを指します。 小学生ぐらいのときに、「誰が何時何分何秒にそんなことを言った?」なんておどけて言う友達はいませんでしたか?また自分自身幼い頃そんなことを言っていませんでしたか? ここまでではなくとも「コンピュータ過剰適応型」の若者は、何をするにしてもはっきりさせなければ気がすまない、それこそ「何時何分何秒にどうするのか」示されないと気がすまないのです。 なぜそんな若者のことを「コンピュータ過剰適応型」と呼ぶのでしょう? これは、コンピュータの性質に間違った順応をしてしまっているからです。 コンピュータは1か0かしかありませんよね。つまり「正しい」か「間違っている」かの二つであり、「どちらでもない」という曖昧なゾーンは存在しないのです。 ですが、実生活ではどうでしょう? たとえば対人関係。何もかも「白か黒か」で表現できるでしょうか? 出来ませんよね。 人との会話など、曖昧なところだらけといっても良いでしょう。これはいわば当たり前のことなのですが、コンピュータに順応してしまっている若者は、その「当たり前」の曖昧さがわずらわしいものだと感じてしまうのです。 コンピュータが使えなければならない世の中になっているのは事実です。ですが、しっかりとコンピュータ以外の、現実世界にも目を向けなければ真っ当な「人間」として成長することは出来ないのです。

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クローズなひとびと?A

「クローズ人間」が増えた理由として「過剰負荷環境」を取り上げましたが、この過剰負荷環境の中で人々がどう順応するか研究がなされています。 この順応方法こそ、「クローズ」の仕方に他ならないのです。 「過剰負荷環境」で人々が取る4つの順応方法についてみてみましょう。 ・短時間処理 余計なものいらない、必要なことだけ伝えれば良い。 そんな考えから、情報を出来るだけ簡単に伝えるようになります。 「内容を簡単に」という意味でもありますが、これは「言葉遣いを簡素に」という意味もあります。つまり、敬語・丁寧語を省いた、どこかぶっきらぼうな受け答えをするようになるのです。 ・情報の排除 情報の排除といっても、すべての情報を排除するわけではありません。 自分にとって都合の良い情報はしっかりと取り入れ、それ以外の、自分には不要、もしくは不都合のある情報については無視するというのがこの手段です。 ・責任回避 何か問題が起きても人のせいにしたり、誰かが解決する、といった他力本願な考え方で、自分からは何も動こうとはしません。 ・他者の利用 自分と何かの間で問題が起きても、自分自身では解決しようともしません。自分以外の誰かを間に入れて、直接接触せずに解決させようとします。 自分の身の回りにこのような人はいませんか? これは「過剰負荷環境」への対応方法ですが、「クローズ人間」は実にこれと似通った行動を取ることがわかっています。

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